Out of This World

休学して旅に出る大学生の備忘録

タイ北部で遭難した話【パイ】

 

 

もし皆さんの行きたい観光地に、宿が2つしかなかったとしましょう

どちらも写真や口コミはなく、人づてに聞いた話では、最高だったという話と最低だったという話があります

 

2日間の滞在でまずは片方の宿に泊まってみると、特に問題はなし

部屋は清潔で水周りも綺麗、レセプションは丁寧でロケーションも悪くない

 

さて、あなたなら2日目も同じホテルに宿泊しますか?

それとももうひとつの宿に行ってみますか?

 

 

とまぁ、旅をするというのはこんなことです

宿代が安いならそこに長居するのもいいでしょう

 

しかし誰しも時間は有限なので、そこに長くいることで行けない場所も出てきます

 

ここを離れれば次の場所はひどい場所かもしれない

わざわざ行く必要は無いかもしれない

 

けれど、万が一その場所が自分にとって夢のような場所だとしたら!

もうひとつの宿が僕には最高の宿なのかもしれない

そんな小さな可能性に賭けながら、胸を弾ませてリュックを背負うのです

 

 

たくさん移動するということは1箇所にいるよりずっとお金がかかります

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あーあ、チェンマイにいれば今日はこのバス代を焼肉食べ放題に回せたのに

さて、ラオスへの国境を第1友好橋から第4友好橋に変更し目指すのはフランス人アルチュールにオススメされた北の避暑地パイ

 

東南アジアでも北側ということで寒さを心配していましたが、ものすごく暑いです!!

 

ということで3ヶ月ぶりに髪を切ります
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バスまでの2時間で見つけ出した美容室

安い事以外は日本と変わらない設備、プロセスでした

 

 

パイまではチェンマイ西側バスターミカルからミニバンで3時間(150バーツ)

 

到着したパイのコンビニで晩御飯を調達
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見てくださいこれ!

念願の〜

 

おにぎり!

 

これ温めてください!!

 

「おにぎりは温めれないわ」

 

・・・

え?おにぎりだよ?

しかも筋子じゃなくて鮭おにぎりだよ?

レンジで10秒でいいんで

 

「温めマーク付いてないでしょ?ついてないと温められないの」

 

いやいやいや!お米なんだから温められるでしょ!

冷たくて美味しいのはお母さんが握ったおにぎりだけだよ?

しかもあれは時間が経って冷たいけどお母さんが温かい心で握ったからおいしいんであって、冷たい機械が作った冷たいおにぎりなんか需要ないわ!

 

と、まぁそんな道民丸出しの怒りの声は心の中で叫んだだけです

 

宿までの寂しい田舎道、悔し涙を目尻に堪えながら冷たいおにぎりを口に押し込んで歩きます

 

 

...まずい

 

 

※北海道ではおにぎりを購入すると必ず「おにぎりあたためますか?」と聞かれます

東京で頼むと店員に変な顔されますが絶品ですので、皆さんもぜひ一度試してみてください

 

 

パイはタイ北部山間に囲まれた小さな街で、宿はキャンプ場のコテージのよう

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この街観光客だらけなんですが、女性の旅行者が驚くほど多いです

 

中心地にはオシャレなカフェが軒を連ね、夜はスイーツサラダのナイトマーケットが立つ上に、少し足を伸ばせば温泉といったヒーリングスポットと確かにはずす理由がありません

 

泊まっていたドミトリーも20人部屋に男は2人と肩身のせまい女の園でした

だからってTシャツ1枚で歩き回るのはやめてくださいお姉さん方、、、女子寮気分で気楽なのかもしれないけどこっちは常時修行なんです

 

はい、そんなお姉さんの1人オーストリアニーナと夕方にディナーの約束をして街歩き

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観光の疲れを癒す目的で来たので、特に調べもせず気の向くまま歩きます


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なんていう木だろう

ターザン出来そう

 

なんだろうこの既視感は

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なんだろうこの安心感は
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ああ、北海道か

どうやら東京で3年暮らしても僕の心は田舎モンのままなようです

 

地図を見ると、山の上にがあるらしいので、そこまで往復します

 

ん?あれ、この滝人気ないのかな?

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道がかなり険しいです

登山道と言われれば分からなくもないけど、こんな整った観光地なのに不思議...


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はい、道を間違えました

 

登ればいずれ合流するだろうと30分ほど進んだ結果、絶対に合流しないと悟ったので脇の急斜面を登って修正することにします

(※同じ状況に出会ったら例え1時間だろうが来た道を戻るべきです)

 

写真では斜面や距離感が伝わりませんね

めちゃくちゃ急です

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とにかく久しぶりにアドレナリン全開で自然児に戻り、必死に反対側にやって来ました

足場を間違えて背中から岩場に落ちればまず無事では済まなそう

 

そして反対側から眺めて気づきました
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あ、これは遭難した

 

反対側の斜面が崩れやすい上まず降りられない角度だったので途方に暮れます

水も持ってきていないので炎天下の中喉が張り付く

落ち着いて考えようにも足元の東南アジア特有巨大な蟻を見て、ヒアリという言葉が頭を過る

 

来た道は、足がかりにしたツタを何本か引き抜いてしまったので戻れず、最後の可能性はさらに登って降りられそうな斜面を探すことだけ

 

そこそこ絶望的な状況でしたが、意外にも怖いとは感じませんでした

 

あーニーナ姉さんとの待ち合わせ間に合うかなー

 

そんなことを考えながらさまようこと4時間

 

4時間!

 

不安定な足場に筋肉は限界

滑り落ち、木にひっかかり手はズタボロの血まみれ

希望が見えては絶望の繰り返し

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こんなのを登ったり降りたり

映画なんか見てると「そのくらい飛び降りろよ」と思うんですが、落ち葉のせいで着地地点が分からず、歩けなくなったら終わりという緊張感が僕の足を踏みとどまらせます

 

こんなこと昔あったなー

そうそう、函館の生まれた家は裏山があって、熊注意の看板やらダムやらアオダイショウの沼があるにもかかわらず兄ちゃんと2人でよく探検したなー

 

 

やばいやばいやばい!

走馬灯!!

 

棘と石がくい込んで木を掴むのをしんどくなってきた頃


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川と小道を発見!

安心や嬉しさではなく、とにかく水が飲みたいと思いました

 

最後の関門は川を塞ぐアシナガグモの群れf:id:discimus:20190207141826j:image

お互いの足が引っかかるほど無数に動き続けてます

ゴキブリは未だになれない僕ですが、蜘蛛や蛾なんかは平気です

蹴散らして川を渡り、無事生還

 

滝から帰り道のカナダ人と遭遇

 

「え?その格好どうしたの?」

と若干引き気味の彼に

 

「ちょっと遭難してただけ、街ってこっち?」

と説明も中途半端に一緒に帰り道をてくてく

 

そして気づく

 

携帯がない!

 

んー、神様命の代わりに携帯持ってったかー

あ、それなら腕時計買わなきゃ

あ、ニーナとの待ち合わせ時間過ぎてるや

 

と呑気なこと考えながら一応戻ってみると、小川を越えたアシナガグモの群れの中に落ちてました

 

Lucky it didn't fall in the river.

 

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首長族の村があるようですね

何だか見世物にされているようで行く気にはなれませんでした

 

生還したとはいえ反省は大事
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ここだ、この分かれ道で間違えてたんだ

 

憔悴し切った僕にはこの静かな夕陽が後光のように見えました
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そんな光に、幼少期の木登り技術や探検ごっこに心から感謝して手を合わせるのでした
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コンビニで1.5Lの水を購入して飲み干し

破れたズボンと切り傷ははどうにもなりませんが、土と葉っぱを払い落としてニーナと合流

 

夕方6時頃から現れるストリートマーケット
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伝統衣装から食事の屋台、観光客がぞくぞくと集まってきて毎日がお祭りです

 

「Tomo今日は何してたの?」

「んー、滝に行く予定だったけどたどり着かなかった!」

 

ニーナおすすめのアボカドサラダinピタ

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ヨガヴィーガンと健康姉さんニーナは僕より背が高く、人混みに紛れても見つけやすいです

 

市場の端ではパフォーマー

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韓国人のハンドパン演奏者

いい場所だなー。コラボしたいなー。

 

2人で夜市を堪能したあとは、この旅一番の星空を眺めながら田んぼを歩き宿に帰るのでした

 

めでたしめでたし

 


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ベジタリアンってスイーツ好きな人が多いんです

僕も嫌いではないんですが、このマンゴーライスはさすがに鳥肌モノで手をつけられず...