Out of This World

休学して旅に出る大学生の備忘録

旅に出たくなる映画や本のおすすめ

 

 

旅も終わりかけということで、少し感傷に浸りながら自分の旅のきっかけになった作品を少し紹介しようと思います

 

僕の旅のスタイルはこれらの作品に多大に影響されているので、そんな関わりにも触れていこうと思います

 


キノの旅

"世界は美しくなんかない。そしてそれ故に美しい''

複雑な経緯で故郷を失った主人公キノがモトラド(しゃべるバイク)に乗って様々な国を回る冒険物語

それぞれの国でキノは自分たちの正義を信じる国民たちに出会い、時に歓迎され、時に命を狙われ...

悲しみや絶望に直面し、それでもキノは旅を続る


国といっても実在のものではなく架空の国を一国ずつショートストーリーにした短編集のような内容です

 

小学6年生で母に勧められた1冊

今読み返してみると風刺の強い話も多いですが、当時の僕にそんなことは関係なく
「嘘つき達の国」
「人の痛みが分かる国」
「人を殺すことができる国」

と、独特の文化や法律を持った人々が暮らす国々に憧れを感じては、その皮肉な結末に現実を見るのでした

感情移入のなく淡々とした文章構成は読みやすくも旅人の本質を表しているのかなと思います

 

主人公のただ1つの旅のルール「同じ国に滞在するのは3日まで」という部分は、今回の僕の旅がとても早足なことの理由でしょう
歴史の詰まったひとつの文化を理解するのに充分な期間などない
だからこそ旅人は必要以上にその国に干渉すべきでないと僕は思っています

 


深夜特急

深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

深夜特急1?香港・マカオ? (新潮文庫)

 

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは「大小(タイスウ)」というサイコロ賭博に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪が、いま始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ!

 

言わずと知れたバックパッカーのバイブルですね
東南アジアの安宿では本棚に並んでいることがよくあります
月並みとはいえ良いものは良いんです!


1~6巻まであり父は三兄弟に2冊ずつ渡してくれたのですが、前後が気になり大学に入ってから古本屋を回りました


ユーラシア大陸を路線バスで横断するという無茶苦茶な旅を70年代にやり切ったというのだから驚きです


旅を通した経験は人間味に溢れ、全てにおいて自由
これほどローカルな旅をすることは今の時代かなり難しいですが、手探りで誰の目も 気にすることも無く旅する姿は憧れです


僕も旅をしていて「絶対にはずせない観光スポット!」とか言われると、この本を思い出して「うん、やめよう」となることが多々ありました

図らずも今回の旅はユーラシア大陸を反対から陸路横断することになったのは間違いなく影響されていると思います

 

 

ガリバー旅行記

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

 

小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国…イギリスに妻子を残し、懲りずに旅を続けたガリバー。彼が出会ったおとぎの国々を、誰もが一度は夢見たことがあるだろう。子供の心と想像力で、スウィフトが描いたこの奇想天外、ユーモアあふれる冒険譚は、けれどとびきり鋭く辛辣に、人間と現実社会をみつめている。読むたび発見を新たにする、冒険旅行小説の名著

 

旅を動機付ける書籍として挙がることは少ないであろう古典から

 

ガリバー旅行記というとおそらく多くの人は小人たちに縛られたガリバーの姿を想像するでしょう

実はそのシーンは本が始まって数ページの出来事

その後もガリバーは多くの国を旅します

ジブリ作品天空の城ラピュタはこの本から着想を得ていて、実際にガリバーもラピュータ(磁石で浮遊する賢者たちの国)を旅します

 

著者はさぞ人間嫌いだっただろうと伺わせる程に人間社会への皮肉と批判に溢れ、後半ではほとんど憎悪に近いスウィフトの社会風刺が詰まっています

 

トマス・モア、スウィフト、ディケンズ、H.Gウェルズと僕のイメージではイギリス人は皮肉と風刺が大好きな国民です

ただこれらの文学はまさに人間愛ゆえの風刺というのが大事なところ

 

旅をすると故郷をより好きになると言います

僕の場合も全てのことにおいて日本と較べ、日本のたくさんの素晴らしさに気付かされました

そして反面、自分の国に何が足りないのかも考えさせられます

 

そして多くの場合そんな世界かぶれの批判は流されますが、文学という形で社会に反映させたのがスウィフト

 

しかし、彼の文章を見るに、どれだけ愛していてもやはり旅人は祖国を捨てることになるのではないかと思わされる作品でした

 

 

以上!

今回紹介した書籍はどれをとっても、特別難しい本ではなく、旅以外にもテーマも持った作品なので、幅広い方に読み物として楽しんで貰えたらと思います

 

 

 

続けて旅をテーマにした映画からも3作品

 

「LIFE!」(原題WalterMitty)

「LIFE」の写真管理部で働く臆病で不器用な男が、人生を変える波乱万丈の旅に出る姿を描く。LIFE誌の写真管理者として毎日地下鉄に乗って通勤し、変化のない日々を過ごすウォルター・ミティ。彼の唯一の楽しみは、むなしい現実から逃避する刺激に満ちた空想をすることだった。そんなある日、LIFE誌の最終号の表紙を飾る大切な写真がないことに気付いたウォルターは、カメラマンを探すため一大決心をして一歩を踏み出す。

 

ティーザーはこちら

 

LIFE誌は「フォト・エッセイ」と呼ばれる写真を中心として報道・言論を広めようという試みで始められたアメリカの雑誌

フォトジャーナリズムの原点ともいえる会社です

 

大学入試に失敗し、勉強をする気はなく、レンタルビデオ屋さんに通い一日に5本の映画を見る毎日
そんな時ティーザーを見て映画館まで足を運んだのがこの作品
映像の美しさ、音楽のセンスの良さ、そんな映画的な素晴らしさが霞むほどにとにかく走りたい!という感情にかられたのを覚えています
実際、その数ヶ月後僕の初めての旅となる「本州野宿でヒッチハイク旅」をすることになりました


LIFE社の社訓

"To see the world,
Things dangerous to come to,

To see behind walls,

To draw closer,

To find each other and to feel,

That is the purpose of life''

「世界を見よう

危険でも立ち向かおう

壁の裏側を覗こう

もっと近づこう

お互いを知ろう

そして感じよう

それが人生の目的だから」


この言葉は今でも旅のノートに書き残してあります

 


イントゥ・ザ・ワイルド

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

 

大学を優秀な成績で卒業したクリスは車や財布を捨て、自由を手に入れるための放浪の旅に出る。労働とヒッチハイクを繰り返し、アメリカからアラスカへと北上。アラスカ山脈の人気のない荒野へと分け入り、捨てられたバスの車体を拠点にそこでの生活をはじめる。

 

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旅行でもなく、ヒッピーでもなく


大学時代、お金はないけど自分の限界に挑戦したいと思い11日間の断食をすることになった原点

 

カメラを長回ししたロードムービーとして有名なこの作品
監督が僕の好きなショーン・ペン、キャストにクリステン・スチュワートが出ているということで内容は全く知らずに鑑賞


主人公の視点で一緒に旅をした気分になれる作品
気分爽快旅に出よう!と言う作品ではないものの、疑問を持つことの大切さを教えてくれます


この主人公の進む道に憧れた時、あぁ僕は旅行が好きなわけではなく、旅がしたいんだ。と気づきました

だから野宿やヒッチハイクしてるのかと言われれば半分イエスで半分ノーくらいです笑

いつか''leather tramp''「革靴の放浪者」と呼ばれたいものです

 


モーターサイクルダイアリーズ

1952年、ブエノスアイレス。喘息持ちながら理想に燃え好奇心溢れる23歳の医学生エルネストは陽気な友人アルベルトと南米大陸探検の旅に出た。アルゼンチンからパタゴニアへ、そしてアンデス山脈を越えてチリの海岸線に沿って進み、最終的に南米大陸の北端ベネズエラのカラカスを目指す。おんぼろバイク“ポデローサ号”を移動手段に、わずかな所持金と貧弱な装備だけの彼らにとって、それはあまりにも無鉄砲な計画。当然のように彼らの行く手には様々な困難が待ち受けていたが…。

 

ティーザーはこちら

(日本語版見つかりませんでした)

 

キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの若き日を描いた作品
大学でスペイン語圏の文化について学んでいた時に教授からのおすすめということで視聴

 

普通「旅」と聞くとなんだか楽しげで自由なイメージがありますが、この作品の主人公医学生エルネスト・ゲバラは、旅を続けるほどに現実の世界を見て苦悩し、縛られていきます
彼はこの旅を通じて後の革命家となる自分の道を見つけるのです

 

終着地点、目的を見つけるということは旅人が願う夢のひとつであり、同時に旅が終わることを意味します

 

自由な旅もいいけれど、いつかは真剣に世界に向き合ってみたい
そんなことを考えさせてくれた映画です
おかげでどの国でも僕の旅には政治・宗教・悲惨な歴史がついてまわります
辛いものから目を背けるくらいなら家にいた方がましなんです

 

 


観たことや読んだことのある作品はあったでしょうか?

旅の軌跡は十人十色
そんな全く違った視点での旅物語を聞くのは楽しいものです

 

あなたはどんな旅に憧れますか?

 

今回紹介した中で、もし気になった作品があれば是非チェックしてみてください!

 


最後に旅に出る勇気があと一歩足りない方のために、あなたの背中を押す偉人たちの名言を紹介します

 

 


「世界とは1冊の本である。旅をしない人々は、本を最初の1ページしか読んでいないのと同じだ」

 

ローマ帝国において、初期キリスト教を支えた高名な神父の一人アウグスティヌスの言葉です
彼の時代の世界は今ほど大きくなかったでしょう
旅をすることも今以上に難しかったでしょう
そんな昔でさえ、自分の見た事のない世界へ飛び出すことが大事だというのです


あるいは、その本は読み切ることが不可能な大長編なのかもしれません
それでも僕は死ぬまでに1ページでも多くのページをめくろうと思います


今あなたは何ページ目ですか?

 


「どんなに洗練された大人の中にも、外に出たくてしょうがない小さな子供がいるのだ」


世界中の子供たちに夢を与えたウォルト・ディズニーの言葉です

この言葉が当てはまる方は多いんじゃないでしょうか


旅をするには時間がないし、お金も必要だし、言葉はどうしよう、危ないイメージが...なんて考えてる大人な自分の隣に、それでも行ってみたいんだ!と叫ぶ目を輝かせた少年少女はいませんか?
どちらがあなたですか?たまにはそんな声に耳を傾けてあげるのはどうですか?

 

 

「20年後、あなたはやってきたことよりもやらなかったことに後悔するだろう
ならば、安全な港からもやい綱を解き放て!貿易風を帆に捉えよ!
探検し、夢を見、発見せよ!」

 

トム・ソーヤーの冒険の著者マーク・トウェインの言葉です
旅に出るとして、それが正しい選択かは誰にもわかりません
旅が安全かどうかももちろんわかりません

しかし、いつかこの岐路を思い出した時に、後悔しないと誓えますか?

誰かが教えてくれる安全な道は本当にあなたの夢ですか?
果ての見えない広い海は、きっと港にはなかった沢山の夢と発見を与えてくれるはずです

 

 

どの言葉も「旅」「挑戦」と解釈してもぐっと来る言葉です

世界を渡り歩くだけが旅ではありません

日常の中に発見挑戦を見いだせればそれは立派な人生の旅となるのではないでしょうか