炎の国と風の街〜バクーinアゼルバイジャン〜
夜行バスや夜行列車では本を読むことができません
かと言ってインターネットも繋がらないことが多いので、暇を持て余しながら真っ暗で何も見えない異国の景色を眺めています
ある時僕は気づきました
携帯で本が読めるじゃないか!
アナログ派で電子書籍など調べたこともなかった僕は、1click購入という甘い言葉に惑わされ初めてKindle(スマートフォンやPCで電子書籍を読むアプリ)をダウンロードし、1冊だけと心に決めて購入しました
イランは国土が広く、移動時間も増えるので、暇つぶしになると思ったのです
...読み終えてしまいました
もっと厚みのある本にすればよかったー!
ともあれ、活字中毒だった僕には一言一言が胸を踊らす至福の時間となりました
移動情報を調べて見つけた誰かのブログでもなく
たまにGoogleから送られてくる味気のないニュースでもなく
想像力を膨らませてくれる本物の文章があったからです
できることなら、こんな風に読んでいてわくわくする、そして次も読みたくなるような文章が書けたらいいなと心から思います
アゼルバイジャン(Azerbaijan)🇦🇿
人口:9,872,765人
面積:86,600k㎡
首都:バクー
言語:アゼルバイジャン語
通貨:マナト(AZT)=66円
物価:★★
寝台列車なんて何十年ぶりだろう
場所はステーションスクエアのレイルウェイから一日1本20:35(運賃35ラリ=1500円弱)
ボロっちいですね
予想通りです
中も想像通り狭くて古いです
二段ベッドの上は男性が寝るにはかなり狭く、時折冷房が強烈に吹き付けるので何度か起こされました
途中ジョージア国境とアゼルバイジャン国境で停車し、入国審査が行われました
車両の端の席に呼ばれ、何やらパソコンらしき機械の入っている重厚なトランクケースをテーブルに開いた軍服の男性と面談を行います
写真を取られ、行き先を聞かれ
そして終わりました
特にアルメニアのスタンプについて何も言われなかったのが拍子抜けでした
(見つからなかっただけかもしれない)
アゼルバイジャンは国土が広く、カスピ海から離れた内陸の地域では、こんな静かな風景が延々と続きます
12時間をかけて、バクーの中央駅 28 MAY駅に到着です
見切れていますが、右のボロい車両がそうです
国内線は新しくて随分綺麗でした
外から見た28MAY駅
メトロと長距離電車が乗り入れ、郊外へのアクセスに最も利用される駅です
街には人が少なく、観光客もほとんど見かけませんでした
ここでもクリスマスツリー
ジョージアやアルメニアはともかく、この国にクリスマスツリーとは
トルコとの繋がりが強く、南にイランと接するこの国では、多くの人がムスリムです
の割に、女性も髪を出して歩いていたり、祈る姿を1度も見なかったり、どうやら随分ゆるいようです
ちなみにコンセントが日本と同型でした
宿が綺麗で快適だったので、少し睡眠を取って街に出かけます
ジョージアで愛したシャウルマはここではこんなに小さくなりました
パクチーたくさん入ってます
スープじゃないとちょっと匂いがきついです
旧市街の入口は、雪のイルミネーション
こうなるともはや古いのか新しいのかわかりません
観光客よりもデート中の男女や家族が多かったです
店番をするリアルな銅像たち
旧市街を一通り歩き回って海浜公園
んー、人が少ないですね
夜のカスピ海を1人で散歩
湾の端に見える高級レストラン
バクーは石油で潤ったエネルギー大国です
そのため建築にお金がかかっていて、スタジアムやらホールやらホテルやら、とにかく手が込んでいて豪華絢爛です
海浜公園を端まで歩くと、丘へと伸びるロープウェイにぶつかります
が、歩きます
頂上の景色からいい眺めが見れるとわかっている時こそ、そこまでの過程を楽しむのが山男というものです(←登山初心者)
まだ登ります
駐車場スカスカなのにこんな所に車停めないでほしい
そしてバクーの夜景
美しい湾
暖かい灯り
敢えて焦らしていましたが、バクーといえば一番人気はフレイムタワーです
石油の豊富なこの国は炎の国と呼ばれ、湾に風の吹き込むバクーの街は、風の街と呼ばれています
地表から吹き出す石油によって燃え続ける炎は国のシンボルでもあり、建築にもなっているのがこのフレイムタワー
イルミネーションでバクーの街を賑やかに彩ります
実は海浜公園からも見えていて、いろんな角度から撮ったのでまとめてどうぞ
アゼルバイジャン国旗を振る男達
これは見ての通り炎ですね
星のように点滅しています
最上階から注がれた水が溜まっていく様子
これは是非ともその目で見てもらいたいです!
正直これを見るために来たと言っても過言ではないバクー
生で見たこの時の僕はその存在感に圧倒されました
帰り道のメトロステーションもイルミネーション
市庁舎もピカピカ
何度も言います
何でもかんでもピカピカで立派です
建築家の腕がいいのか、それともお金が有り余っているのか...
広場ではクリスマスマーケットが開かれていて、お昼の閑散とした雰囲気とは対照的に大賑わいでした
揚げ物やバーガー、コーヒーにキャンドル
その他たくさんのお店が軒を連ねています
ただ、アルコールがない...
カップルだらけのノンアルコールパーティに長居は無用です
宿でカップラーメンを食べて、韓国人の旅人kooさん(愛読書ワンピース)と盛り上がり、就寝
翌日
バクー市街は歩いてほとんど周ってしまったので、バスに乗って西に20km
郊外に立つゾロアスター教寺院を目指します
メトロで途中の駅まで行き、184番のバスにのってトータル45分
終点がゾロアスター教寺院ですが、そこまで行く人は僕一人でした
フレイムタワーからは想像もつかない簡素な駅とその周辺
ここがその寺院の入口
世界史のかなり前半に登場するゾロアスター教
漢字では拝火教と書きます
善の道に導くのが火の存在
ゾロアスター教は終末思想をもつ原初の宗教で、キリスト教に大きな影響を与えています
ペルシア帝国の支配によって、ほとんどがイスラム教に改宗したため(イスラム教以外の教徒には多額の税金がかかる)現在残るのはその跡のみです
中央祭壇に燃え続ける炎
この寺院はシルクロードの中間にも位置しており、隊商(キャラバン)の休憩地として活用されてきました
そのためヒンドゥー教の影響も色濃く残っているようです
ちなみにキャラバンサライ自体はバクーから北の街シェキにさらに大規模なものがホテルとして残っています
映像を写真で撮ったので画質は許してください
これはバクー郊外にあるヤナルダグと呼ばれる山です
表層から石油が滲み出しており、文明の生まれる遥か前から1度も消えることなく燃え続けています
アクセスが悪かったこととゾロアスター教について知りたかったためこちらは断念しました
アイヌやインディアンの動物信仰然り、オーストラリア、アフリカでの自然信仰然り
奇跡や神話のようなわかりやすい形でなくとも、身近な現象に感謝する心には改めて尊敬します
火と言えば、英語で「熱い」のHotは、同時に「辛い」も表しますね
トルコで買った旅のお供です
カップラーメン、パスタ、サンドイッチ
世界中どの食材にも使える料理のさしすせ「と」です
(今でも味噌でそはさすがに無理があると思う)
こんな所でバクー観光は終了です
空港までのバスは28MAY駅から1.3マナト(85円)
Kooさんがお見送りに来てくれた上、晩御飯にとシャウルマを2本も買って頂きました
彼は大学で日本語を専攻していたためもはや日本人並に流暢です
日本にも何度も遊びに来ていて、東京は僕より先輩です
(歳はひとまわり上、若く見えますよね)
旅人というのは、その性質上中立的な人が多く、政治経済よりも文化人類学的な話を好むものですが
彼は歴史や文化への理解も深く、様々な問題を踏まえた上で、韓国と日本が協力してアジアを盛り上げて行けたらいいねと前日熱く語り合いました
この素敵な出会いがもっと両国全体に広がったらいいのにな
僕はどんな国に対しても、誰が書いたか分からないニュースより、自分の目で見たもの、あった人達を大事にしたいです
帰りのバスから
おそらくもう見ることはないであろうクリスマスツリー
国際線ターミナル
アゼルバイジャンはとにかくピカピカしてました!
トルコや中東のピカピカというと、少し見栄っ張りというか、その街の実際の姿とのギャップが対照的でした
対してアゼルバイジャンは...ただ単にお金持ちなんでしょう笑
バックボーンのある豪華さで、正直旅人には付け入る隙がないかも
旅行に関して言えば、日本からのアクセスさえ良くなればオススメしたい街です
手を組んで歩く男性たちや、街に響き渡るイスラム教のコーランはトルコのよう
近代建築とイルミネーションはヨーロッパにもひけをとらず
メトロや物価、人々の話すロシア語を聞くと旧ソ連領を感じさせられます
ヨーロッパ旅行ほどお金をかけずに、高級レストランとホテルを楽しんで、ちょっぴり街を歩いて異国を感じながら夜景を眺める
そんなイメージです
僕の中では、再訪するとしてもまだジョージアのおまけレベルですかね
近い将来、アルメニアとの紛争を解決して、三国の自然豊かな村や小都市を自由に回れるようになったら素晴らしいだろうな〜
ーYou Need Your Enemyー
追記:プロフィールにメールアドレスを記載しました
随分たくさんの方が読んでくれているようなので、もし情報を求めているバックパッカーの方がいれば、通ってきた国わかる範囲、覚えている範囲でお答えします(値段や時間、ルートなど)